どうも!ごっとんです。
アースバッグ工法で躯体を作った次に重要になるもの、それは、
左官です!
前回は躯体のことを書きましたので、参考にしたい方はこちらへどうぞ!
今回は左官作業について説明していきます!
左官作業は専門の職人さんがいることからわかるように、奥が深いものです。
僕はそういった職人さんではありませんので、あくまで自分がやってきたことをベースに書いていこうと思います。その点よろしくお願いしますね!
それではどうぞ!
お左官な感じで!
目次
そもそも左官ってなに?
左官とは一般的に「塗って仕上げる」建築作業のことですね。
モルタルや漆喰(しっくい)、硅砂(けいさ)壁などを塗りつけて外装や壁などを形成していきます。
つまり、塗るときは柔らかい素材を使って、乾くと固まるものを使って行う作業ですね。
左官という単語は日本のものですが、もちろん海外にも左官技術者はたくさんいます。
英語ではPlast(形成する)という単語から、Plasterer(プラスター)と呼ばれています。
この技術を突き詰めるとなると職人技のイメージがありますが、実は塗るだけなら結構簡単で楽しくできる作業なんですよ。
何を隠そうアースバッグハウスの外内装はこの左官作業で形成されています。
そこまで気負わずに、家に服を着せる、くらいのイメージで挑むことをお勧めします。
実際の作業順番をイメージ図にしてみました!
ちょっと補足させていただきますと、
この図ではガスファルト用の接着剤、ウォータイト社の「プライマーA」とガスファルトの上にモルタルを定着しやすくさせる接着剤同じくウォータイト社の「C-1000」の表記を抜いています。
「1、荒塗り」と「1、荒塗り+α」は両方緩めに作ったアースミックス ですが、+αの方には細かく濾した土が入っていて、非常に滑らかに塗りつけができるようになっていますよ。
たくさんの素材を塗っていますが、外装などは塗装や防水だけが目的ではなく、モルタルなどを使った「強化、補強」という意味もあります。
絶対にここまで塗らなければならないわけではありません。あくまで住むための家を想定してるわけですね。
単なるオブジェクトやベンチや塀だったら、ここまで防水する必要もないですよ!
それでは外装からみていきましょう!
【外装】1,荒塗り作業
むき出しの躯体に一番初めに塗るのは「荒塗り」です!
荒塗り材はアースバッグの中身、アースミックスを水分多めに作り、壁に塗りやすくしたものです。
アースバッグハウスはその性質上、上棟したては表面がボコボコしています。
その溝を荒塗りでどんどん埋めていき、大きな起伏も暑く塗りつけながら均していきます。
装飾を施したいときは、この荒塗りの時点である程度造形しておくと、のちの装飾が楽チンになりますよ!
イメージとしては荒塗りはハウスの「皮膚」のつもりで作ってあげると良いでしょう。
【外装】2,メタルラス網貼り付け
ラス網とは、モルタルを塗りつける際定着させやすくするための網です。ちょっと柔らかめの金属でできているので、曲線や起伏があってもそれに合わせて変形させることができます。
さらにモルタルのひび割れを防ぎ(ラス網とモルタルは膨張率が一緒)、強化してくれますので、モルタルを塗るならラス網は必ず仕込んだ方が良いと思います。
ラス網を入れずにヒビだらけになって剥離したモルタルをみたことがありますが、いくらオブジェクトとはいえ、かなり見た目が悪くなってしまいますので、せっかくモルタルを塗るなら、しっかり定着させてあげましょう!
貼り方は簡単。荒塗り後の躯体にワッシャーをつけたネジ(コーススレッド)を玄翁で打ち込んでいきます。15センチ間隔くらいで良いでしょう。
入り口や窓の縁には曲げ込んみ、内側15センチは入り込むようにしっかり貼り、はみ出した部分はきちんと巻き込んでおきましょう。
【外装】3,モルタル左官
モルタルは(セメント:1+砂:3)を水で混ぜて作られます。
様々な建築現場で使われていますね。
外装の補強、防水にもなるのでとても重要です。
メタルラス網を貼ったところにどんどん塗っていきましょう!
モルタルを塗るときの注意点やコツ
正直たくさんで書き切れないですし、いろんな人に聞けば聞くほど混乱してくる「注意点」。
ここでは、あくまで僕が知っている注意点やコツに留めておきます。
あとは、実際現場で触ってみて実感していただくのが良いかもしれませんね。
基本はゆっくりと「優しく」です。
- スピード重視で塗っていくイメージですが、そうすると結構な確率で剥がれたりします。
- モルタルは乾いた場所に塗りつけると非常に剥がれやすいです。塗る前に、必ず水でにらしてから塗るようにしましょう。
- コツは、モルタルをつけたコテを躯体にぎゅっと1秒くらい押し付けてからコテを動かすのと、ちょっと「多いかな?」くらいの量を一気につけてあげることです。すると起伏で引っかかったり、途中で材が切れてかすれることは大分防げますよ!
- コテの動きは基本的に下から上に向かって動かします。絶対では内ですが、それで引っ掛かりを防げます。
- コテは腹の部分を多用するとキレイに塗れます。
- モルタルは半日程度で結構固まってしまいます。形成は一気に行う必要があります。
- 固まったモルタルと、緩いままのモルタルはもはや別素材です。塗りつぎするときはしっかりと撫でて、キワがわからないくらい、なじませるようにしましょう。と言っても一番は一気に塗ってしまうことですね。
- モルタルはボロボロとこぼれてしまうことが多いです。それらは勿体無いので、壁の下にビニールなどを敷いておき、大きくこぼれてしまったものなどはちゃんと使いきりましょう。
- それでも残ってしまい、キワで固まってしまったモルタルは、後からスクレーバーなどで叩いて取り除き、キレイにしてあげましょう。出来上がりのキレイさが全然違います!
- 形成後の形は、水の流れを意識してあげましょう。防水できると言っても完全ではありません。水は溜まらず流してあげる方が家としては良いのです。
- モルタルを乗せる板は塗る場所に軽く当てて、落ちるモルタルをキャッチしましょう。
僕が書けることはこれくらいかな?
これらは次に書いている軽量モルタルにも共通して言えることですね。
あとは実践してみましょう!そうすればなんとなく掴めてきますよ!
【外装】4,軽量モルタル
軽量モルタルは、セメントにパーライトや軽量の骨材を混ぜ込んだものです。
実は軽量モルタルに関しては配合するというより、完成品を買ってきて、それに水を混ぜて使うという感じです。
その名の通り軽量で、造形に使われたりすることが多く(素材が重たいと重力で下がってきてしまう)なおかつ滑らかで塗りやすいのが特徴ですね。
荒塗りをした後に軽量モルタルを触ると、いかに滑らかさが仕事に影響しているのかわかりますよ!
【外装】ガスファルト防水
ガスファルトとは、ゴムとアスファルトを原料とした防水目的の素材です。
黒いクリームのような性質なのですが、塗ってから乾くと水を弾き、ゴムのように多少伸縮する素材に固まります。
これを躯体にに一回ずつ時間をおいて2回はしっかり塗ります。塗った直後にはわかりませんが、乾いてくると薄い部分や、小さな気泡があったことがわかってきます。
2回目はその辺りを意識しながらしっかりと塗りましょう。これでほぼ完全に防水はできるはずです。
詳しくはこちらのサイトを参考になると思います。
参考サイト:株式会社ウォータイト 製品紹介
ガスファルト防水をする意味は?モルタルだけではダメ?
実は、セメントは固まる際に必ず毛細菅ができるのです。
これは「亀裂」というものではなく、水分を含みつつ硬化した後、そこから徐々に水分が抜けていった跡なのです。もちろん硬度自体はそのままですが、水はゆっくりと浸透していきます。
すると、鉄筋コンクリート造の場合、染み込んだ水が原因で鉄筋が錆び、膨張して内側からコンクリを砕いてしまうことがあります。(こういう結果は西表でめちゃ多いですよね。)
なので、セメントやモルタルだけでは浸透を防げない上、劣化を招くので防水はしっかりと考えた方が良いと言えるでしょう。
ガスファルトを塗る際の注意点
ガスファルトはいろんな塗り方がありますが、ペイントローラーで塗りつける場合、同じ会社の増粘剤を入れます。
伸びがよくなるので、グッと塗りやすくなりますよ。
そして、ガスファルトはモルタルに対してしっかり接着してくれる素材ですが、きちんとプライマー(下地材)を塗りましょう。その上でさらに上からモルタルを乗せるのでモルタル用の接着剤、(C-1000)を塗ってから次の素材を塗っていきます。
ガスファルトはそれ自体が防水膜なので、薄い場所があったり、穴が空いていたりするとそこから水が浸透し、それらに湿度の出口が無い場合、内側に結露してしまうことがあります。
そうなると、アースバッグハウスの場合強度が下がってしまうことが考えられるので、塗装は2回に分けてしっかりと行いましょう!
【外装】白セメント噴霧
白セメントは本来着色ができる真っ白なセメントですが、ここでは下地と足つけ作業用に躯体に噴霧します。
足つけ作業とは次に塗る塗装剤の定着を強くするための作業で、木工でも表面をギザギザさせて上からニスを塗る作業と似ています。
しかし、ガスファルトはゴムの性質を持っているため、ヤスリなどで削るよりはこうしたセメントを噴霧した方が足つけしやすいのです。
噴霧機(セメントスプレー)を使えば一人でも半日くらいで作業を終えることができますよ。
【外装】ジョリパット塗装
ジョリパットも実はある会社の商品名です。本当はいろんな外装材が存在していて、いろんな素材で塗ったり作ったりしたい人も多いと思いますが、それぞれ素材によって注意点が違ったり、やり方が違ったりと、とても全ては網羅仕切れません。
なので、今回は研修でつかったジョリパットを説明していこうと思います。
いろんな塗装の仕方があると思いますが、今回はセメントスプレーを使った吹き付けたあと、刷毛で均していきます。
刷毛で均すと、細かい気泡部分が潰せますし、塗りの浅いところをカバーしたり、スプレーで届かない場所を刷毛で塗って行ったりと何かと便利です。
しかも、刷毛を使うことで、テクスチャー(模様)ができるので、ツルツルの壁よりも趣と雰囲気が出てきますよ。
シンプルで無骨な感じも良いですが、せっかく家まで建ててるんです。
こうした目に見える部分に関しては趣向を凝らしてあげるのも良いかもしれませんね。
ジョリパットの特徴
- すぐに固まってしまうため(固まるとゴムのような素材になります。軍手などに着くと取れません。)外気に晒したら気をつけましょう。
- 一気に使うことが多いため、発注も一度に行っておいたほうが良いでしょう。
- 密閉することで保管が可能です。壁材の補修をするときや、同じ色で仕上げたい部品ができた場合などもあるため取っておくと便利です。
- 色のサンプルを出してくれているので、それを見てから壁の色を決められます。
- 新しい建築素材なので、高耐性で長く持ちます。
そのほかにもあると思いますが、ここではこのくらいの紹介に留めておきます。
うわー、長い!モチベーションをゴリゴリ削られる!
今回はこの辺にしておきます!左官も一回では終わりませんでしたッ!!
作業自体はさほど重くないのですが、テクニカルでかつ、作業工数が多いのが左官ですね。
その説明だけで結構気を遣います。
次回は内装の左官と床打ちについて書いていこうと思いますよ!
それでは、また次の記事でお会いしましょう!