こんにちは!ごっとんです。
前回、前々回とアースバッグはこんな感じの建物だよ!という記事になりました。
見逃した人はこちらもチェック!
今回は、具体的にどんな作業をしていけばアースバッグハウスができていくのか、簡単に流れを説明していこうと思います。
まずは躯体の立ち上げ工程です。
これが建ってから内外装が始まります。
多くのワークショップで行っているのはこの作業ですね!一番人手が必要な作業であり、楽しい作業でもあります。
- ベース掘り
- グリ石敷き
- 水平(レベルの調整)
- アースバッグ一段目
- 土間シート
- アースMIX作業
- バギング
- タンピング
- ダボ石(楔にする石)を打ち込む
*◯の部分、アースMIX〜ダボ石を打ち込むところまでは繰り返し作業です。
- 建具取り付け
- 通気パイプ、配管の仕込み
そこまで進んだ後に、
- 外装(荒塗り、モルタル塗り、防水処理、屋根打ちなど)
- 内装(中塗り、漆喰、床打ち、タイル貼り、ドア取り付けなど)
- 仕上げ
という仕上げ仕事になっていきます。
こうしてリストアップすると、作業、盛り盛りだくさん!やっぱり家を作ってるんだなぁ、と言う気持ちになりますね。
この記事では躯体工事から説明していきますよ。
ちょっと長めになりましたので、時間のある時にお読みくださいね。
目次
ベース掘り
アースバッグハウスを立てる場所(土地)を掘ります。アースバッグを置く通りに溝を掘る場合もあるようですが、全て掘り切る場合もあります。僕らの時はユンボで掘り切っていました。
世のアースバッグビルダーにはユンボで溝を掘るツワモノも!
重機で細かい作業ができる人は凄いですね…。
出典:小川工業
この作業で出た土は、事前にテストを行ってOKならそのままアースバッグの素材になります。
小石なども含まれていれば骨材として優秀ですね。あんまり大きな石となると躯体には向かないので、しっかり網を使って漉してから使いましょう。
土漉し
多分アースバッグ工法の中で一番きつい作業がこれ。
ひたすら漉します!止まったら
次のアースMIXが作れない=躯体作業が進まない
ので、どんどん漉します!
なかなかの作業ですので、腰を痛めている方はお気をつけください笑
と言っても、土は買っても大丈夫ですし、濾す方法も工夫してOK!
中には重機で一気に濾す方法を検討するツワモノも現れました!アイディアって大事です。
ともあれ楽しくみんなでアイディアを出し合って、こうした作業も楽しくできたら一番良いですな!
グリ石敷き
グリ石とは、「割栗石(わりぐりいし)」と呼ぶこともあります。
道路や塀,垣や,建造物の基礎工事を行うとき,地盤を締め固める目的で割りぐり石を用いた割りぐり地業が行われる。
引用:コトバンク
地盤を安定させるために置く石なんですね。
アースバッグを乗せるところに敷き詰めていくので、もちろんアースバッグそのものよりも広い範囲に置く必要があります。
14インチのアースバッグ(直径35センチ程度)を使う場合、45センチほどの幅で置いた方が良いですね。
グリ石もベース掘りの時に出てきた石を積極的に使いましょう。足りなければ調達する必要があります。
水平(レベル調整)
透明なホースを使って水平を測ります。
ホースの中に水を入れ、その両端を上に向けていれば、水の嵩(かさ)が自然と水平を測ってくれます。
一度測った基準を元に砂利を加えてしっかり水平になるように調節していきます。
足りないところに多めに砂利を敷いて、グリ石とグリ石の間に砂利がしっかり入り込むように上から叩きます。
ある程度叩き締めたら歩いてみて、安定しているか確認してみましょう。
アースバッグ1段目
水平を測ったらいよいよ一段目!
アースバッグハウス1段目は、なんと砂利です!
いきなり土を使ってしまうと地面の湿気をそのまま吸い込んでしまうため、湿気よけのため砂利を使うのですね。
砂利を敷いた後に、周囲の長さを測ります。(この時は歩測で行いましたが、測れればなんでもOK)
その分の ネットチューブをカットして、砂利を詰めていきます。
歩測→腰にバッグを当てて、その歩数分歩いていきます。中身を詰めると多少短くなりますので、余裕を持って3歩程度プラスしておきましょう!
補足:作業する線上に白線を引いておこう
補足ですが、基本的にアースバッグハウスは円形の場合が多いので、中心の杭を打ち円を描きながら作業する線を作っておけば後の作業の際ズレなくて済みます。
せっかくですから消石灰を使いましょう。昔の校庭の白線は消石灰だったんですよ。今は人体に影響のない「炭酸カルシウム」が使われています。(消石灰は肌荒れすることがある)
土間シートを敷く
防湿対策その2です!
2段アースバッグを積んだところに上から防湿シートを敷きます。以前は違った敷き方だったのですが、この敷き方が湿気をよりシャットアウトできるので、こちらの敷き方になったそうですね。
アースバッグ工法もより効果の高い方法へと日々アップグレードしています。実際に現場に出ていると作業に対していろんなアイディアや方法が出て、効率化していきます。
まさに日進月歩というやつですね。
上からさらにアースバッグを乗せると、もうがっちり!動きません。
注意!防湿シートは破らないように注意しよう。
防湿シートはその名の通り、湿気をシャットアウトするシートなので、穴を開けないように注意しましょう。
せっかくの効果もなくなってしまいます。それだけ湿気がどこからでも入って来るということですね…。
(僕はやらかしましたけど…)
アースMIX作業
いよいよ躯体の壁と柱となる「アースMIX」を配合していきます。
この時の材料は
赤土 | 30リットル |
消石灰 | 10リットル |
にがり入り水 or 海水 | 適量 |
これらをモルタルミキサーに投入してかき混ぜます。
配合具合は実際に土を握ってみて形が崩れない程度。上から落としてもベチャッとなってバラバラにならなければ水気もちょうど良いです。
水分が多すぎてもヒビが入ってしまうし、少なすぎるとボロボロ崩れてしまいます。慎重に足していきましょう。
もし水分が多すぎたり少なすぎても、一輪車に載せている時ならまだ調整も効きますので、焦らなくて大丈夫。
バギング
バギングとは、アースMIXをネットチューブに詰め込んでいく作業です。
意外にコツが必要で、初めは足に載せ40cm程度積み上げてからゆっくり倒してあげると隙間なく詰め込むことができます。
そのあと、切り口からアースMIXを流し込み、つま先でグイグイ押し込みながら詰めていきます。
これが最初は難しい!でも、コツさえ掴んでしまえば延々やれる作業ですよ!
ネットチューブは曲げたり捻ったりはとても簡単です。アースバッグ工法の設計の自由度はこのネットチューブの特徴による造形がとても面白い要素です。
土をこね、手捻りのようにチューブを重ねる
大人の巨大な粘土遊び
引用:小屋入門 Tiny House Manual 株式会社地球丸
想像力次第で、絵本に出て来るような家だって作れるかもしれません。
出典:合同会社 DOGEI ART
こういった造形は、地道な詰め込み作業の繰り返しによってできているのですよ。
バギングはアースバッグ工法、基本中の基本!頑張って覚えましょう!
タンピング
バギング後のネットチューブをしっかりと叩き締め、固めるために上から「タンパー」やてっぺんの平木槌などで叩きます。
1度目は軽く叩いて、2度目にちょっと強めに叩くのがコツ。
上からだけではなく、サイドからも少し造形しながら叩いてあげれば、仕上がりが綺麗になりますよ。
3段乗せるたびに一度水平を測るのですが、その時に調節するのにもタンピングで行います。
強度にも関わる部分なので、しっかりと行いましょう。
講師のコージさんがタンピングした後。めっちゃ平ら…!講師の方々はこういう単純作業のレベルが高い!
ダボ石を打ち込む
ダボ石とは
石材や木材を接ぐとき、両材の接合面に差し込んでずれを防ぐ小片。だぼそ。
だぼそ!!
つまりは楔のように打ち込んで、上に乗るアースバッグにも食い込んで横ずれを防ぐ働きがあります。
だいたい3~4cmの砕石を使って、左官ハンマー(後ろが釘抜きでなく尖っている)を使って穴を作って、そこに半分ほど打ち込むんだぼそ。
これでアースMIXが硬化すれば、横ずれも心配ありません。
以前はポリプロピレンの土嚢袋に、なんと鉄条網を使っていたため、作業している皆に生傷が絶えなかったとか…。
今でも海外のアースバッグ工法では鉄条網を使っているところがありますね。
ひえぇ…危ないんだぼそ。
出典:Goods Home Design
今は日本アースバッグ協会のアイディアで怪我する心配は減りましたのでご安心くださいね笑
ちなみに砕石は買うこともできますが、できればちょうどいい石を拾って来るのもいいかもしれません。
左官ハンマーはこちら
建具枠取り付け
建具とは、アースバッグハウスに窓や扉を作る際にはめておく枠のことです。
これをはめた状態で上棟し、いざ扉や窓を取り付ける時に邪魔な材を取り除く、といった手順です。
アースバッグハウスは自由度が高いため、この建具にも様々な形があったりします。
円形や三角形なんかもあれば、遊び心を盛り込めますね!
出典:DIY EARTHBAG HOME
ちなみに開口部や窓は作りすぎると強度が落ちる場合がありますし、見た目にも良くないのでほどほどにしておきましょう。(開口部は60cm間隔と規定されています)
関連記事をチェック!→:建築基準法施行令 第4節 組積造 第57条 開口部
通気パイプ、配管の仕込み
事前に通気パイプや配管の穴を仕込んでおきます。
硬化した後からも穴は開けられますが、コンクリートハンマーで削(はつ)らなければならないので、おまりおすすめできません。せっかくの強度も落ちてしまいますしね。
基本的には事前にパイプを使って配管しておきましょう。
最後に:繰り返し作業について
もうお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、今まで説明してきた中の
アースMIX作業〜ダボ石を打ち込む
までは基本的に繰り返しです。状況に応じて配管や建具を取り付けていきます。
あとは事前に設計した形に沿ってアースバッグを積み上げていきます。
注意しておいていただきたいのは、アースバッグの積み上げは「1日5段まで」です!
それ以降はまだ硬化が始まった間もない、ゆるいネットチューブを積み上げることになりますので、危険が伴ってしまいます。
その際、独特な形をしている部分などはきちんと硬化するまで不安定な部分に補強を入れたりして、十分な強度を保ってあげてくださいね。
まとめ
ちょっと長くなってしまいました!
躯体の立ち上げまでは、基本的にこの作業の繰り返しとなります。
この躯体までの立ち上げが、アースバッグハウスをしっかり最後まで立ち上げるための大きな工程です。
でも、みんなで取り掛かれば大丈夫。
僕たちは今回8名作業で約1週間強の期間で躯体まで上棟しました。
はじめ3日くらいはきつい作業と感じますが、人間なんでも慣れですね笑
4日目にほぼ全員異常なスピードアップを果たしました。
作業量は増えてますので、皆なかなかに慣れるのが早かったのかと思います。結果的にあと4日で全部積み上げ終わるわけですからね。
要は慣れということで、難しそうな作業もやって慣れるのが一番良いでしょう。
次回は内装、外装の大まかな流れを説明する予定です!
ではでは次の記事でお会いしましょう!
P.S今回ご紹介した物