こんにちは!ごっとんです。
僕は沖縄県の西表島に住んでいます。約3年前の移住ブームのころに乗っかった人間ですね。
離島生活も慣れてきたところで、ふと改めて自分の家が欲しくなりまして。
もともとそれが西表島に来た目的でもあったんですが。
どうしたら良いかなーと考えたところ、「自分で作るのが一番早いんじゃないの?」という結論に至りました。
そこで、ずっと気になっていた「アースバッグ工法」の「1ヶ月間でベッドが置ける一人部屋を作る」という研修があったので、飛びつくように参加してきたんです。
ということは、立ち上げから仕上げまで全部体験できるってことじゃん!
その1ヶ月で学んだことや、僕が今具体的に動いている内容、「アースバッグ工法」のことなどをこのブログで改めて発信していこうと思っています。
日本アースバッグ協会の講師で、熊本の河内にある「アウトドアフィールドのんねむ」のオーナー、小堺 康司さんによれば、
「技術はたくさん発信してこそ次に繋がる。」
とのこと。
「アースバッグ工法」という技術を知ってもらい、それを得た人が新たな豊かさを手にしてもらえたなら、最高に嬉しいです。
もちろん自分の復習とさらなる勉強をかねてます。
今回頑張って勉強したんですよ。今までの30数年間で一番集中しました。
1ヶ月でノートほぼ丸一冊を埋めたのは僕史上初めです笑
研修が終わってからも毎日土のテストや思いついたアイディア、これから建てるものの構造をノートに書いています。絶賛2冊目に突入中です。
このブログは、そんな僕のごちゃごちゃしたノートをできるだけわかりやすく残そうとする場所です。
たくさん書いていけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
目次
アースバッグ工法とは?
非常に面白い工法です。
アースバッグ工法とは、簡単に言えば「チューブ型の袋」を積み上げて家の形にする工法です。
特徴をあげていきますと、
- 施工がシンプル
- 非常に丈夫
- デザインが面白い
- RC造や木造などの他の構造を入れることで、様々な用途に
- 自分の土地の土をつかって空間を作ることができる
などです。もっと沢山あげられますが、それは他の記事で書いていきますので、今回はこれらを説明していきます。
施工がシンプル。みんなで楽しみながら家や構造体が作れる
何と言っても最大の特徴は、建築経験ゼロの僕でも、力持ちでない人でも、指導を受ければすぐに躯体(アースバッグハウスの構造体のこと)の作成に携われるということです。つまり大工さんじゃなくても経験がなくてもいいんです。
出典:【ついに完成】災害に強いアースバック工法でかわいい壁と花壇をつくってみた! | 東京上野のWeb制作会社LIG
これによるワークショップなどが最近各地で盛んに開催されていますね。
究極のDIYである「家」が「誰でも作れる技術」となると、僕はこの工法以外知りません。
出典:アースバッグ建築/earthbagワークショップin静岡@函南町 | 土遣い/Earth envoy
何よりワイワイやりながら作る、という工作に近い感覚で丈夫な家ができるなら、きっとそれに越したことはないでしょう。
こちらは千葉での募集です。
ビルダー募集!in南房総市白浜町! アースバッグ工法を覚えたい!! 家づくりに興味がある!! 一緒にモノづくりの体験をしましょう! 基礎から設備まで全て自分達で作りますよー♬ 是非この機会に海土里umidoriへlet's go! ※未経験者大歓迎 ※詳しくはブログ「海土里の暮らし方」で検索(管理人プロフィールにてオーナーの経歴が分かります)
引用元:千葉で自給自足|海土里の暮らし方
とても硬い家。原材料は「土」
アースバッグ工法とは、長いチューブを重ねるようにして組み上げるのですが、その内部の原料は「土」です。
地元で掘り出した土ももちろん使ってよし、買ってきてもよしです。
もちろん普通に土を入れただけでは固まらずに崩れてしまうので、セメントを混ぜたり、昔ながらの「三和土(たたき)」を配合し、練り上げてそのチューブに詰めます。(アースバッグ工法では『アースミックス』と呼んでいます)
しっかり養生(固まるまで期間をもうけること)すると、なんとコンクリート構造よりも丈夫なっちゃうんですね。しかも強度、4倍!!カテナリー曲線の本領発揮です!!
そこまでにするには、アースバッグ協会による配合の勉強や落下テストをクリアして、という流れがあります。
この辺りもゆくゆくブログ内で説明していきたいですね。
実は、僕が学んだ「のんねむ」には「ククの家」というアースバッグハウスがあるのですが、なんと最近起きた熊本の震災、そして台風を受けても構造体はビクともしていないのです。まさに論より証拠。
どんな自然災害も100%安心することはできないかもしれませんが、家としてこれらの大災害を耐え切ったのは確固たる実績と考えて良いでしょう。
「カテナリー曲線」を元に作られたデザインが非常に面白い。
アースバッグハウスの最大の特徴は、ドーム型のシルエットです。一般的な四角い住宅にある「柱」が存在せず、柱と壁とが一緒になった構造体なので、内側の空間にも無駄がありません。
「カテナリー曲線」とは、鎖の両はしを持った際にできる「たわみ」の形で、アースバッグ工法はその「たわみ」をそのまま上方に転換した形を基本としています。これは自重を強度に転換できる構造で丈夫さにとても効果的な形ですが、何よりその円形のデザインが面白い!
出典:http://flechadamata.com/
まるで北欧やファンタジーの世界から出現したような曲線的な形です。思い描いていた形をそのまま実践できたり、また、作っていくうちにアイディアで形を追加したりと、とても自由度の高い作り方なのです。
出典:いすみガーデンリトリート&トーテムの家
海外のアースバッグハウスは変わったものが沢山作られていて、ずっと見ていても飽きないですね!
法的な面で構造体として
実はアースバッグ工法で作られた構造体は、日本の法律ではまだ家として認められていません。
しかし、なぜか宿泊施設としても機能している施設があります。「ククの家」や「トーテムの家」などもそうです。
これはなぜでしょう?
実はRC造(鉄筋コンクリート造)として役所に申請しているからなんです。
もともとアースバッグ工法は鉄筋も必要ない強度の出る建築法ですが、日本ではそうも行かない。かといってその利点に全依存して無理を通そうとしても、やっぱり日本は法治国家です。そんな無理を通す方法が続けばいつか建物そのものが作れなくなってしまいます。
であれば、法律を通してあげればいい、ということで、鉄筋も内部に組み込んで鉄筋コンクリート造として申請するわけです。これなら宿泊施設としてや飲食店として、さらに自宅としても利用可能なのです。
しかし地方自治体による認識は場所によって違うこともあるので、すり合わせも重要です。申請する際は担当の方としっかり話し合う方が良いでしょう。
RC造にすればいいよ!って結構簡単に書きましたが、実はここまでたどり着くまでは沢山の人の努力と時間が積み重なっているのですよ…。
詳しくは熊本にある「エコヴィレッジサイハテ」内のこちらの記事でも紹介しています。
過去には「ログハウス」も大変だったらしいですね。僕が学んだのはこれらが通ったあとでしたから、まあ、よかったと思うべきか…。
掘った土を使うので無駄がない。
家を建てるときは、まず土地に基礎を打つ場所を決めて均(なら)します。
アースバッグ工法ではその時に出た土をそのまま構造体に利用できるため、動きに無駄がありませんし、新たな資材を用意する必要もありません。
特に僕の住んでいる離島地域では、資材の調達に船を使うため、全ての物価が本州よりも高いという特徴があります。(ちなみに幅がありますが、生コンで埼玉県で1立米高くても約1万円。西表島だとなんと3万円!!)
当然、木材や鉄骨資材を持ち込むには余分な運搬費がかかってしまうんです。
まさに僕が注目したのはそこにあります。
土が資材なら、持ち込む必要ないじゃん!ってことですね!
我ながら安直な考えです笑
しかし…調べれば調べるほど西表島にはアースバッグ工法が向いていると思えてくるんですよね。
ここではすごく建てやすい方法じゃないかと僕は思っているわけですよ。
まあ、それらの理由はまた別の記事で紹介するということで、今回はこの辺にしておきましょう。
ではではまた次の記事で!
P.S
ちなみにNASAでも注目されている工法で、月面での建築も検討され、火星では「建築可能」とのこと。
(それは習ってないぞう)
出典:http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Engineering_Technology/Building_a_lunar_base_with_3D_printing
こちらの記事によると、月面の土、酸化マグネシウム(消石灰に含まれる成分)と特殊な塩で人工的な石を作ることができると。まさに『Moon Village』。
それを3Dプリンターで組み上げるってんだから、アースミックスを機械的に作って組み上げる装置という夢のコラボ!しかも「カテナリー曲線型」を採用!
もはやアースバッグハウスって舞台は地球だけじゃないということです。
そんな宇宙を巡る技術だとしたら、俄然やる気、湧いてきますよね。